いじめ=犯罪ではないのです
「イジメは犯罪だ」
「イジメという言葉でぼかさないですべて犯罪としてきちんと扱うべき」
こういったご意見がネットではあふれています。
もちろん、テレビなどで話題になるようなイジメは犯罪行為であることがほとんどですし、犯罪の中でも悪質であると思えるようなものも多くありますよね。
私自身も犯罪に該当するようなイジメに関してはきちんと犯罪として対処していくことには大賛成です。
ただ、すべてのいじめが犯罪ではないということはキチンと押さえておかなければならないとも思うのです。
これは、事実として押さえておかないと色々と問題が起きてきます。
いじめの定義
いじめの定義を知ると
いじめ=犯罪ではない
ということが解ります。
文部科学省が出しているいじめの定義は現在は
「いじめ」とは、「児童生徒に対して、当該児童生徒が在籍する学校に在籍してい
る等当該児童生徒と一定の人的関係のある他の児童生徒が行う心理的又は物理的な
影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものも含む。)であって、当該
行為の対象となった児童生徒が心身の苦痛を感じているもの。」とする。なお、起こ
った場所は学校の内外を問わない。
文部科学省
こうなっています。
これって簡単に言うと、被害児童が苦痛を感じたらいじめということです。
非常に範囲が広いんです。
この定義を見て、「苦痛を感じるならいじめなのは当たり前だろう!」と思われる方も多いかもしれません。
でも、いじめの判断はあくまで被害生徒から見た世界・・・つまり主観。
極端な話、加害生徒が親切のつもりで行った行為(実際周りからみれば親切な行為)でも、被害生徒が苦痛を感じたらそれはいじめであるということなんです。
これでも全てのいじめは犯罪だと言うべきですか?
いじめ=犯罪 は必ずしも被害者の保護ではない
いじめ=犯罪
と、なってしまうと、
犯罪では無い行為はいじめではない
となってしまう危険をはらんでいます。
せっかく被害者保護の観点から広げられたいじめの定義がものすごく狭まることになってしまうのです。
これは本当に良いことですか?
わたしは良いとは思えません。
いじめというと、ついつい、犯罪行為に該当するようなものを思い浮かべますが、犯罪行為には当てはまらないいじめというのも多いのです。
犯罪にはあてはまらないような いじめ に適切に対処するためにも
いじめ=犯罪
ではない。ということの認識は必要だと思うのです。
いじめという広い範囲の中に、犯罪に当てはまるようなものもあるという事です。
犯罪行為をいじめ、という言葉でごまかすな
いじめの中の犯罪に当てはまる行為を、犯罪という言葉を使わずに『いじめ』ということで、その悪質さを隠し、曖昧にしているという面があることも確かです。
いま、いじめという言葉は、いじめの定義が広いことで、些細なすれ違いのようなことから悪質な犯罪行為までを含んだ言葉になっています。
このことで、悪質な犯罪行為がいじめというソフトな表現で悪質さがぼけて伝わってしまうという現象が起きてしまいます。
この対処としては、「いじめ行為のうち、犯罪に当てはまるものについてはその犯罪名にて対処を行うことを基本とする」ということが出来れば良いかと思うのです。
いじめという一区切りのグループではなく、いじめの程度により対処をかえるということを色んな部分で行うことがもっと必要であると思うのです。