色の見え方と色覚異常
色の見え方というのは、一般的に思われている物よりも個人差が大きいものです。
一部の色の差がわかりにくいって人は結構います。
色覚異常とは、大多数の人間が識別できる色を認識できないこと。
また、どの色が認識できないかによって、1型、2型、3型や1色覚、2色覚などに細かく分類されています。
もっとも、色覚異常と行っても、色がまったくわからない人から、ほとんど正常と変わらない人まで、見え方は様々です。
色覚異常の生徒はクラスに1~2人はいる。
色覚異常は男性で20人に1人、女性で500人に1人の割合で現れます。
つまり、クラスに1~2人は存在する可能性が高いんですよ。
そんなにいるの?!
と驚かれる方も多いのではないでしょうか?
学校での配慮の必要性
先ほども書きましたが、クラスで1~2人は存在している可能性が高いので、学校の授業などでは配慮が必要です。
とくに、黒板の板書などは誰でも見やすいように、あまり多くの色を多用しないというのは大切です。(または、色がわからなくても理解出来る板書)
意外と、気にしないで板書に色を多用してしまう教員もいるので気をつけて行きたい部分です。
また、色への配慮と行ってもどの組み合わせが見にくいかということを毎回確認することは大変なので、最低限、色の明度には気を遣っていきたいですね。(白黒にしたときに見やすいかどうかということ)
ただ、なんでも色覚異常の生徒に合わせて使用する色を制限する(過剰な配慮)というのも、問題があります。
例えば、私は美術科の講師ですが、絵画などの鑑賞をする際に色の一部を認識できない生徒のために鑑賞する絵画を変更するということはしませんし、絵を描く授業で使用する色を常に制限するなんてこともしません。
そういったことは、生徒たちの学習の足かせになってしまいますし、意味が無い(薄い)ことです。(もちろん、限られた色で制作する授業行うことはあります)
色覚異常の生徒にとっても、学習する機会を奪うことにもなりかねません。
考えてみてください。色がわからないと名画と呼ばれる物を見ることは無駄ですか?
ユニバーサルカラー以外の色のデザインに触れることはダメなんですか?
そんなことは無いですよね。
世界にはものすごく多くの色であふれています。
たとえ、認識しずらかったとしても沢山の色にふれることは学びとして大切なことです。
色の見え方、それは個性です。
はじめにも書きましたが、色の見え方は個人差が大きい物なので、色覚異常も含めて一つの個性です。
目の良い人もいれば、目が悪くて眼鏡やコンタクトをしている人もいる。
それと同じように、沢山の色を認識出来る人もいれば、そうで無い人もいるということです。
もちろん、目が全く見えなかったり、色が全くわからなかったりということになると日常生活にかなりの支障が出てくることが考えられます。
ただ、大部分の色覚異常の人は色の見分けがつきにくいだけで日常生活に支障をきたすことはほぼありません。
本人や家族が気づいていないことも多い!
検査等をしていなかったため色覚異常のことを知らなくても、本人は「~色はわかりにくい」と感じているパターンもあります。
実際、授業の中での机間指導のときに、生徒から「~色と~色の違いが前からよくわからないんです」という話をされたことがあります。
この場合、色覚異常という認識はなくても、本人は色の認識のしづらさはずっと感じていたという事でした。
また、風景画などを描いた場合に、色覚異常なのかな?と感じる生徒もいました。
こういった生徒は、他の人が見たときに作品の色が実物と同じ色に見えないことから、小学校などでお友達や教員から指摘を受け、色塗りが嫌いになってしまっていた事が多かったです。
こういった場合でも、あくまで「色の使い方が変わっている」という認識で、見え方が違っていることには気づいていない事もありました。
色覚異常を知っておくことは大切です。知らないことで起きる不幸もある。
色覚異常は個性・特性の一つですが、自分にどんな個性・特性があるか知っておくことはとても大切です。
以前は小学校で色覚異常の検査がありましたが、「色覚検査をすることは差別になる」との声から一律での検査が10年と少し前に廃止されてしまいました。
そのため、一律検査の廃止から10年ほどはほとんどの小中学校で検査が行われてこなかったんです。
保護者の同意がある場合は検査できたようですが、やはり実地されることは少なかった・・・。
そのため、自分の(子どもの)色覚異常に気づいていない人が多くなっていしまいました。
(2016年頃から見直されはじめ、検査の復活の風潮が高まってきています)
「それの何が問題なの?」
と思われる方も多いかもしれません。
日常生活で気づかないということは、特に不便を感じていないということですからその感覚もわかります。
ただ、一部の職業では安全上の理由などから「色覚が正常であること」が求められるものがあります。
たとえば、船の操縦士や飛行機のパイロット、電車の運転士、ふぐの調理士など。
これは色覚検査にクリア(職業によってもクリアのレベルは違います)しないと職業自体につけません。
また、職業自体につくことに制限がなくても、実際にお仕事をする上で問題になったり、本人の負担になってしまうケースもあります。
たとえば、色彩関係の仕事や、医療関係の仕事など。
医者は色覚異常だからなれないといった職業ではありませんが(ただし、学校によっては制限のあるところも)、患者を診る際に色というものは重要な要素になることは間違いありません。
命に直結の仕事だけに、自分の特性をよく知った上でどの分野選ぶのかが重要になってきますし、日頃から注意しなければいけません。
このように、職業や進路などに制限がかかってしまう事があるんです。
色覚異常を知らないで進路を決定した後で進学・就職のための色覚検査で異常を指摘され途方に暮れてしまうということもあります。
就職した後に、現場でトラブルにならないためにも、自分の特性はきちんと検査をして知っておくことをオススメします。